杉本理事長 あいさつ
平成22年9月定例県議会において、平成24年度を持って県立専攻科を廃止する決議がなされました。このことを受けて、鳥取県中部地区を中心に、その後の対策について様々な動きが始まりましたが、最終的に倉吉東高等学校の敷地内に、補習科というかたちで「倉吉鴨水館」を平成25年3月に開館しました。この間本当に多くの方々の献身的なご努力をいただき、ようやく実現の運びとなりましたことに、改めて感謝申し上げます。
なぜ専攻科の廃止の決定を受け「倉吉鴨水館」の設立が必要だったのかと言えば、中部地区の浪人生が置かれた特殊事情にあります。そもそも、浪人生は高校卒業時に進学という就学目標の達成ができておらず、精神的にも不安定であり、地域社会全体でしっかりと庇護する必要がある社会的弱者といえます。
それに加えて、中部地区は東部地区、西部地区と比べて浪人生を対象にした予備校の整備が十分とは言えないこと、また、保護者の収入が他地区に比べて明らかに低く、都会の予備校入学を選択できない家庭が多くあることなど、浪人生を巡る環境が地域的に脆弱な状態にあったのです。こうした彼らの置かれた状況を少しでも改善するために、「倉吉鴨水館」を設立したのです。そして、彼らの教育的なニーズにしっかり応え、夢や願いを叶えていくことが我々に課せられた使命であります。
「倉吉鴨水館」は、潤沢な資金を生徒保護者から徴収して運営するわけにはいきません。また、多くの方々の献身的なご支援によって成り立っていることを思えば、大学受験という個人的自己実現のみを満たす取組で終わらせるわけにはいきません。限られた資金を運用しながら、また将来社会貢献を志向する精神をもって、自立した社会人となることを目指す鍛錬の場となる「倉吉鴨水館」にしたいと考えます。 更なる多くの方々から支援していただけるものにするため、今後一層の努力をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
特定非営利活動法人 倉吉鴨水館
理事長 杉本美智子